本年もよろしくお願いいたします。中国経済が徐々に回復軌道に乗ることを引き続き期待したいところです。
KPMGとしては、今年は以下の動きに特に注目しています。
1つ目は組織再編・事業ポートフォリオの再設計です。
コロナ後のオペレーション見直し、中米関係の緊張の継続を背景に、中国事業の位置づけ・役割をアップデートする議論が再び顕在化しています。完全な組織再編に至らない場合でも、グローバル・サプライチェーン構造の見直し、現地意思決定の強化、ローカル調達やローカル製品の開発力の強化は、中国を主戦場とする企業にとって引き続き避けられません。
2つ目はデジタル化の「次のステージ」です。
中国ではB to C市場のみならず一般産業領域でも、クラウド+データドリブンが標準化しつつあります。2025年は生成AIの汎用利用が一段と広がり、生産性向上・省人化の幅が大きくなります。どこまでAIへ業務委譲し、意思決定というコア領域に人を再配置できるか、が勝負の分岐点になります。中国企業はこの領域で非常に速く、国内市場は“AI前提”の競争環境に移行しつつあります。ここに躊躇は許されません。むしろ中国で培うデジタル化・AI化の先進的手法を、将来的に日本・グローバル市場にフィードバックすることが、現在、中国で事業展開することの意義と言えます。
3つ目はサイバーセキュリティです。
デジタル化・AI化が進むほど、企業に求められるのは「攻め」と「守り」の両立です。中国ではデータ等級保護・データ越境・個人情報保護を巡る規律が年々進化しており、日本本社主導のガバナンス設計と中国ローカルの実務実装を矛盾なく整合させる設計力が問われます。
また、税務の観点でも国際課税ルールの変化・移転価格の論点増加・越境での税務コンプライアンスの厳格化が引き続き進行します。組織再編の検討やサプライチェーン構造の見直しと税務の論点は切り離して語れないため、当社は税務サービスも含めた統合的な支援を強化しています。
このような時代の変化における意思決定・実行をご支援するため、私たちは一丸となって伴走いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。