目次
1.直近のIPOの状況
2.IPO市場の概況
東証グロースに1社、名証ネクストに1社の合計2社が新規上場しました。
10月13日に名証ネクストへ上場したアイビスホールディングスは、障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型事業を展開しています。愛知・東京・福岡に事業所を展開し、一般企業での就労が困難な障がいのある方に対して、軽作業やPCデザイン、クラフト製作などの作業機会や就労訓練を提供しています。事業所内での就労支援に加え、より一般就労に近い環境で作業を行う施設外就労も展開しています。主な収益は、障害福祉サービスに係る訓練等給付費等から構成されています。また、同社は福証Q-Board市場へも同時上場を果たしました。同社の初値は公募価格を約53.8%上回りました。
10月15日に東証グロースへ上場したルクレは、建設・保育・教育などの現場産業向けに、写真を起点としたDX支援サービスを展開しています。主力の建設現場向け「蔵衛門」シリーズでは、専用端末やアプリ、クラウド、AIを活用し、工事写真の撮影から整理・共有・帳票作成までを効率化しています。また、保育・教育向けの「みんなの写真屋さん」、自動車修理・整備向けの「AITURBO」など、写真・記録を活用したサービスを複数領域で展開しています。主な収益は、クラウドサービスの利用料や専用端末等の販売から構成されています。同社の初値は公募価格を約37.2%上回りました。
3.市場別IPO社数(年初からの上場承認公表ベース)
4.初値騰落率(平均)の推移(直近2年間の四半期ベース)
5.米国IPOの状況(NASDAQ※1上場日系企業の紹介)
会社紹介
2026年8月25日にNASDAQ Global MarketへDirect Listingで上場したAdvasa Holdings, Inc.(以下、「Advasa」)は、東京に本社を置くAdvasa Co., Ltd.の持株会社として、2025年2月に米国デラウェア州で設立されたFinTech企業です。主力サービスの「FUKUPE」は、従業員が働いた分の給与を給料日を待たずに受け取れる給与前払いサービス(EWA)で、特許を取得しています。導入企業に運用面・資金面の負担を求めない点が特徴で、現在は日本で展開し、インドネシアやUAEへの進出も準備しています。2026年3月期の売上高は、約1,737万ドル(前期比73%増)でした。
所見
Advasaは、デラウェア州の持株会社が日本の事業会社(持分96.6%)を保有する構造をとり、米国内国会社として米国会計基準で開示を行っています。外国民間発行体(FPI)として上場する日系企業が多いなか、HeartCore Enterprise, Inc.に続き、米国に持株会社を設立して上場する2例目の企業となりました。なお、マネックス証券、楽天証券、SBI証券など国内5社を通じて、日本の投資家も売買できる体制を整えています。
6.米国IPO市場の概況
2026年第3四半期の米国IPO件数は30件(前年同期は64件)、調達額は328億ドル(SK hynixの265億ドルを除くと62億ドル)でした。夏場までは堅調だったものの、AI投資過熱への懸念、債券利回りの19年ぶりの水準への上昇、利上げ再開が重なり、例年の秋の案件増加は期待を下回りました。平均リターンは初日の上昇分(+6%)がその後の下落(▲6%)で打ち消されてほぼ横ばいとなり、同期間のS&P500(+2.3%)、Russell 3000(+1.4%)を下回りました。また、Direct Listingは7件と四半期として過去最多となりましたが、上場後の株価は総じて軟調です。第4四半期はAnthropicの大型IPOが予想される一方、中間選挙や金利動向など不透明な要素も多く、市場が落ち着きを取り戻せるかが焦点となります。
以上
執筆者
あずさ監査法人
グロース・サポート事業部
マネジャー 古口 長一郎
あずさ監査法人
アドバイザリー統轄事業部
Accounting & Capital Markets
アソシエイト・ディレクター 須野原 賢