2026年5月28日、GCFFC(Global Coalition to Fight Financial Crime)Japan Chapterの設立を記念して、詐欺対策および金融犯罪対策に関する最新の国際動向を議論するセミナーが開催されました。本イベントは、GCFFC Japan Chapter主催のもと実施され、政策当局、法執行機関、金融機関、国際機関など、多様な関係者が一同に会し、官民連携のあり方や実務課題について意見交換が行われました。セミナー後半には参加者間のネットワーキングも実施され、分野横断的な連携の深化に向けた議論が活発に行われました。
GCFFCは、金融犯罪対策を推進するための国際的な官民連携プラットフォームであり、政策当局、法執行機関、金融機関、専門家などが課題認識や知見を共有し、実効性ある対策を議論・実装することを目的としています。マネー・ローンダリング、テロ資金供与、詐欺といった金融犯罪は、近年ますます高度化・越境化しており、単一の組織や業界だけでは対応が困難となっています。そのため、官と民、国内と国外の垣根を越えた連携が不可欠であり、GCFFCはその実務的な協働の基盤として重要な役割を担っています。
本セミナーでは、GCFFC Founder and Vice-chairのChe Sidanius氏、GCFFC APAC地区Co-ChairのDebra Au氏、警察庁長官官房 参事官(匿名・流動型犯罪グループ対策担当) 石井 啓介氏と共に、KPMGジャパン シニアアドバイザーである井藤英樹による基調講演が行われ、日本における金融犯罪対策の進展と官民連携の重要性に関する色々な意見が示されました。特に、FATF第5次対日相互審査を見据え、「技術的遵守(Technical Compliance)」のみならず「有効性(effectiveness)」が強く求められるなか、制度整備のみならず、情報共有や分析を通じて被害を未然に防止し、犯罪収益の迅速な遮断につなげる運用面での高度化が不可欠であるとの視点が提示されました。また、不正利用口座情報の共有枠組みなど、業界横断的な取組みが進展していることが紹介され、これらが官民連携の実効性を高める基盤となる点が強調されました。
続くパネルディスカッションでは、有限責任 あずさ監査法人 エグゼクティブ・アドバイザーの尾崎寛がモデレーターを務め、財務省、金融庁、警察関係者、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の登壇者を交え、「詐欺対策及び金融犯罪対策におけるグローバルな官民連携のベストプラクティス」をテーマに議論が行われました。議論では、FATF第5次審査を踏まえた有効性確保の観点から、国と金融機関のリスク認識の一貫性の重要性が確認されるとともに、情報共有を出発点として実際に被害を「止める」こと、すなわち口座凍結や資金回収といった具体的成果の積み上げが求められることが共有されました。また、国内の連携に加えて、海外への資金移転を前提とした国際協力の必要性や、データ活用・スピード・信頼に基づく実務的連携の重要性についても、多面的に議論がなされました。
本セミナーを通じて、金融犯罪対策は従来の制度中心の対応から、官民連携と国際協力を前提とした「実効性(有効性)重視」のフェーズへと移行していることが改めて確認されました。
今後は、GCFFCをはじめとする国際的な官民枠組みを活用し、実務における知見の共有や具体的成果の蓄積を通じて、金融犯罪対策およびマネー・ローンダリング対策のさらなる高度化に貢献していくことが、ますます、重要になると考えます。