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      強靭・軽量な車体骨格部品を製造する自動車部品サプライヤーのベルソニカ。バックオフィスの刷新でリアルタイムな生産状況の把握と在庫管理の精度向上を目指したベルソニカは、SAP S/4HANA Cloudのビッグバン導入による抜本的な業務改革プロジェクトを推進している。KPMGコンサルティングをパートナーに選び、マネジメント層から現場までを大きく変えたプロジェクトの全容について、両社のキーパーソンに聞いた。


      Japanese alt text: Case Study:ベルソニカ_写真1 左からベルソニカ 横井氏、錦織氏、鈴木氏、 KPMG 大浦、石川

      【インタビュイー】

      株式会社ベルソニカ
      代表取締役 専務 鈴木 宏昌氏
      プロジェクトマネジャー 錦織 一喜氏
      業務推進グループ 課長 横井 裕和氏

      KPMGコンサルティング
      シニアマネジャー 大浦 暢也
      シニアコンサルタント 石川 敬人

      生産状況を精度高く、リアルタイムで把握するために

      ――ベルソニカは、2026年で創業70周年を迎えました。

      鈴木氏:
      1956年の創業当初は二輪用の小型部品を製造していました。その後、四輪用も手掛けるようになり、1990年代以降は車体骨格部品を製造しています。

      車体骨格部品は、衝突時の衝撃吸収や車体剛性を左右する中核部品です。近年、自動車の軽量化と安全性能向上の両立が求められるなか、超高張力鋼板(ウルトラハイテン材)の採用が進んでいます。

      しかし、超高張力鋼板は強度が高い一方で成形が難しく、加工技術が大きな課題となります。当社は、自動車メーカーおよび鋼材メーカーと連携しながら、超高張力鋼板を量産可能とする製品形状の最適化や独自の成形工法を開発してきました。

      その結果、ホットスタンプ(加熱工程)に頼らない製造を実現し、軽量化と高強度の両立に加え、生産効率およびコスト競争力の向上にも貢献しています。

      ベルソニカの社名が「鐘の響きのように技術力を広く発信する開発型企業(Bell、Resound、Technical)」を表現する通り、当社はこうした独自技術の研鑽に努めてきました。一方で、バックオフィスでは疎かになっていた部分がありました。


      Japanese alt text: Case Study:ベルソニカ_写真2 ベルソニカ 鈴木氏

      ――バックオフィスでは、どのような課題を抱えていましたか。

      鈴木氏:
      生産管理には20年以上前に導入した基幹システムを使い続けていたのですが、アウトプットされる数字の精度が低いことや、原価の把握また月次でしか生産管理データが把握できなかったため、リアルタイムで経営状況を把握することが困難でした。

      当社はインドやインドネシアにも工場を展開しており、インドの工場が先行してSAP S/4HANA Cloudを導入し、一定の成果を上げていたので、日本でも導入しようということになりました。海外も含め、全社の生産管理データを共有・可視化する狙いもありました。

      錦織氏:
      KPMGコンサルティングに導入支援を依頼したのは、失敗を繰り返したくなかったからです。実は数年前にもERPの移行プロジェクトを試みたのですが、要件定義が上手くかみ合わず見送りとなったことがありました。その反省から、慎重にパートナー企業を選定していたなかで、自動車業界の現場にまで精通していなければ到底できないアプローチで提案してくれたのが、KPMGコンサルティングでした。


      Japanese alt text: Case Study:ベルソニカ_写真3 ベルソニカ 錦織氏

      大浦:
      最初にお声がけいただいた際、「典型的な日本の製造業・中小企業」が直面しがちな課題を抱えているのではないかと感じました。取り組まなければならないことがあるのに、基幹システムとして運用してきたホスト(メインフレーム)に精通した人材がいない。個別で導入していた会計システムもホストとつながっていないという状況でした。そうしたなかでPDCAを回すのは、非効率かつデータの精度の面でも不安があったと思います。

      自動車業界の現場に精通 、「ジャパンモデル」で導入支援

      ――実際にKPMGコンサルティングに支援を依頼して良かった点を教えてください。

      錦織氏:
      特に実感したのが、経営層の要望に応えることはもちろんですが、同時に生産現場の実情を把握しながらバランスを取った導入支援を行ってくれたことです。

      たとえ経営層が「こんなアウトプットがほしい」と求めたとしても、そのためのデータをインプットするのは現場です。生産現場がどう動いているのかを把握し、それに合わせて入力作業も含むオペレーションを再構築できなければ、苦労してERPを導入する意味がありません。

      鈴木氏:
      システムを変える以前に、まずは業務のやり方を変えることが必要だという順序をしっかり理解してくれていたと思います。しかも、自動車業界ならではの業務慣行や、長年やってきた現場では簡単に変えにくいという空気を理解しながら、変革の必要性を現場に粘り強く説得してくれたことが、導入の成功につながったのではないでしょうか。

      大浦:
      ありがとうございます。KPMGコンサルティングはこれまで、数多くの製造業の業務改革やシステム導入を支援させていただきました。その知見を基に、日本の製造業に特化した「ジャパンモデル」という導入支援の方法論を確立しており、ベルソニカのプロジェクトにも活用しました。


      Japanese alt text: Case Study:ベルソニカ_写真4 KPMG 大浦

      横井氏:
      要件定義に非常に多くの時間をかけてくれたのも大きな特長だったと思います。KPMGコンサルティングのアドバイスのもと、各現場からアサインされたプロジェクトメンバーたちが、それぞれの業務に照らし合わせて徹底的に行いました。業務改革項目は80項目近くに及んだと思います。

      これが結果として、各メンバーのシステムに対する理解も進み、システム構築のプロセスをスムーズにし、早期の運用実現に繋がったのではないかと思います。


      Japanese alt text: Case Study:ベルソニカ_写真5 ベルソニカ 横井氏

      石川:
      今回のプロジェクトは、生産管理だけでなく、財務会計や管理会計などのシステムも含むSAP S/4HANA Cloudのビッグバン導入でしたが、わずか14ヵ月で国内3工場に導入し、その後2ヵ月でベルソニカでの自走運用を実現しました。すべてが順調に進んだわけではないのにもかかわらず、ベルソニカの皆様の積極的な理解・推進のおかげで、業界としても異例の速度で達成できたと思います。

      在庫数への信頼が向上、経営判断の高度化を目指す

      ――中小企業におけるシステム導入は、意思決定やプロジェクトメンバー選定、人員の確保などが課題になることがあります。導入成功のためにどのような工夫をされましたか。

      錦織氏:
      KPMGコンサルティングは要件定義の深さが他社と比べて圧倒的であり、これが短期間での導入成功の基盤となったのだと思います。業務改革を前提としたシステム導入なので、各部門から招集したプロジェクトメンバーがそれぞれ稼働後の明確な運用イメージを共有しており、それに合わないものは受け入れテスト(UAT)の段階で徹底的に潰しておこうという姿勢が現場でも貫かれていました。

      横井氏:
      プロジェクト当初から、最終的にはベルソニカの自走運用を目指していたので、「実際に手を動かすのはベルソニカのメンバーですよ」と、KPMGコンサルティングはあくまでアドバイザリー業務に徹底してくれたことも、自発性につながったのだと思います。

      大浦:
      ベルソニカのマネジメントチームのスピード感が成功の大きな要因の1つだと考えています。プロジェクトオーナーの鈴木さん、プロジェクトマネジャーの錦織さんの情報収集や判断スピードが驚くほど速く、また実施が必要と判断された後の経営層への承認取り付けから、現場への指示に至るまでのスピード感には何度も驚かされ、感銘を受けました。

      石川:
      現場の皆様の責任感の強さと、自分事として目の前の問題を解決しようとする姿勢があたりまえにあるベルソニカの社内風土も、プロジェクトのスピードを加速させる大きな力になりました。システムを稼働させるまでにはマスタの準備やUATが必要ですが、他社ではIT部門やベンダーに大きく頼りがちなこれらのタスクを、現場の皆様が自分たちで覚えて自分たちで推進されたことに驚かされました。


      Japanese alt text: Case Study:ベルソニカ_写真6 KPMG 石川

      ――導入後の効果について教えてください。

      錦織氏:
      月次でしか見えなかった生産状況の変化がリアルタイムで可視化され、数字の精度が上がったことは期待以上でした。特にシステム上に表示される在庫数への信頼が格段に向上したことは大きな成果です。

      横井氏:
      以前は、正確な在庫数の確認のために毎日、各職場で実数確認を実施していましたが、その必要性がなくなった工数削減効果も大きいですね。こうした結果、導入後の棚卸差額は従来の70%近くまで減少しました。まだ効果を最大化できたわけではなく、関連する各データがシステムに残っているため、改善のための分析を進めることで、今後さらなる差額の削減ができる見込みです。

      鈴木氏:
      何より、今回の導入プロジェクトを通じて、経営層や現場のスタッフたちの意識が変わったことが収穫でした。当たり前だと思っていたこれまでのやり方が変えられることがわかり、「これが実現できるなら、次はあれもやってみたい」という変革に前向きな姿勢が生まれたのは、得難い財産です。

      ――今後の目標についてお聞かせください。

      鈴木氏:
      購買から生産、販売出荷、会計まで、すべての流れを一元的に可視化するという目標はほとんど達成できたので、今後はそのデータ分析や、分析に基づく経営判断のスピードアップと高度化、業務の効率化・自動化を進めていきます。特にAIを活用したデータ分析や経営判断の高度化などには、積極的に取り組んでいきたいですね。

      また、今回の経験を基に、インドの工場でもSAP S/4HANA Cloudをより一層活用できるようにするための業務改革を進めていく予定です。

      大浦:
      システムを導入して終わりではなく、ベルソニカの業務改革、ひいては事業や人材の成長にも伴走という形で実現をご支援させていただいたことを大たいへん光栄に、また嬉しく思っています。「ジャパンモデル」はグローバル展開にも対応しており、今後のベルソニカのグローバルでの業務改革や経営変革を実現するため、引き続きご一緒させていただきたいと考えています。


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      ※本記事は、『日経ビジネス電子版』(2026年3月19日)に掲載された記事広告を、株式会社日経BPの許可を得て転載したものです(一部加筆・修正)。無断での複写・転載は禁じます。

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